顔文字

最近のメールはとても表情が豊かだ。一つのメールに何個も顔文字を入れる友人も多く、自分もどちらかと言えば顔文字を多用している方だと思う。しかし、顔文字は意味についての共通認識が行き届いている表現方法ではないので、どの顔文字がどのような感情を表すかについて判断に迷うことは多い。例えば、悲しみを表す顔文字の(>_<)と(T_T)では、一体どちらの方が深い悲しみを表していると解釈すべきだろうか。これは書き手によって全く異なるので、何度もメールのやり取りをして、その人の顔文字の使い方を感覚的に掴んでいくほかない。
顔文字の一番厄介な点は、使い始めたら止めるのが難しいところだ。面白くて止められないのではない。顔文字の無いメールを送ると非常にぶっきらぼうな印象を与えてしまうから、顔文字を入れざるを得ないのだ。例えば文章の最後に(^_^)という顔文字を入れる習慣があり、いつも「ありがとう(^_^)」というようなメールを送っていたとする。これが何かの拍子に(^_^)が抜けて、「ありがとう」だけのメールを送ると、メールを受けとった方はこちらが余り嬉しくない、むしろ内心不快に思っているのではないかと勘ぐってしまうようなのだ。
顔文字には好意や親近感の印のような一面がある。そのため普段顔文字を多用していると、文字だけのメールは妙に無機的で、冷たい印象を与えてしまうのだろう。自分も先日、本文は普段と全く変わらないのに顔文字を入れていないメールを送っただけで「もしかして怒ってる?」と聞かれ驚いたことがある。これはある意味、顔文字中毒と呼んでも差し支えない状態かもしれない。もはや顔文字抜きでは意思疎通ができないのだ。
しかし、既に顔文字はメール文章に入れるべき定型的な表現として市民権を得つつあるとも言える。顔文字は昔から手紙の文末に用いる「草々」や「ご自愛ください」などの現代版、メール版なのだ。顔文字を多用している女子高生達のコミュニティにおいては、顔文字こそ最大の文章作法なのかもしれない。だから、女子高生も彼女達なりの配慮や心配りで結構大変なの、かな?